英語上級者の「聞く・話す」に直結する力をつくる

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「オールイングリッシュで授業なんて出来ない」先生のお悩みへの2つの具体的な対処法 実技&メンタル編

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こんにちは、日野ゆう子です。

文部科学省の定める指導要領で、英語の授業が英語で行うことが推奨され、英語科の授業をオールイングリッシュで授業を行うという学校も増えてきました。

この記事を読むと次のことが分かります。

①英語の先生を取り巻く現状
②先生が「英語をうまく話せない」「英会話が苦手」だと感じる原因2つとそれぞれの対処法
・先生も英会話力を効率よく伸ばす機会に恵まれていない⇒対策
・周りからの期待値が高い(と感じる) & ネイティブスピーカーを含め周囲に英会話のうまい人が多くて落ち込む⇒対策

 

英語の先生を取り巻く厳しい状況

このような変化の時代にあって、現場の先生たちにかかるプレッシャーも大きくなってきています。

私の知っている多くの中学高校の先生は、生徒さんたちが受験等でよい成績をとって希望の進路に進めるように日々一生懸命指導方法を考えたり、宿題を考えたりとお仕事に真摯に取り組んでいらっしゃいます。

受験を中心に見据えた授業は、コミュニケーション力に直結するものではないかもしれません。でも生徒さんたちの将来のために頑張る先生方の取り組みはまず何をおいてもしっかり認められるべきだと私は思います。

さて、そういった前提の上で、時代の流れで「オールイングリッシュの英語の授業」の波に乗っていかなければならない場合、現実的にはどのようなことから取り組んでいくとよいのでしょうか。

これまでのレッスンを通して、また自分自身の経験も振り替えし、先生の中には「英語を教えているのにも関わらず、英語がうまく話せない」という悩みを密かに抱えていらっしゃる方がとても多いと感じています。その原因と対処法をまとめます。

先生が「英語をうまく話せない」「英会話が苦手」だと感じる原因とその対処法

先生も英会話力を伸ばす教育は受けていない

私たちが行ってきた学習は多くの場合「英語学習」(読んだり、聞いたりすること優先)であり、英会話力を伸ばすためのものではありませんでした。

これはどちらが良いとか悪いという問題ではなく、質が違うものだったのです。(もちろん、英語学習で蓄えた知識が、英会話にものちのち有利にははたらくことにはなるのですが。)そして、今の学校現場の定期試験や、生徒さんを入試に合格させるための試験、それに有利だとされるTOEICや英検に必要な力も「英語学習」よりの力です。

それは英語を教えていらっしゃる方にとっても同じで、「問題を解く」機会はたくさんあっても、「英会話力」を伸ばす教育には恵まれなかったという方がたくさんいらっしゃいます。

英会話力を伸ばすために必要な力

「英語学習」をしっかり行われていても、どこかの段階で実際の英会話のキャッチボールをスムーズに行うための「英会話のための基礎練習」を挟まなければ、力は伸びていきません。

英会話の力は、具体的には、「英語の音を聞いて理解し、自分の考えを瞬時にまとめ、英文を組み立て、相手に伝わるリズムや発音で伝える という作業」で必要な力です。その力を養成するための時間をまずはかけ、それを色々な状況で使えるようにしていく・・という発展をどこかで集中してとる必要があります。

そのための時間をとる必要があるのですが、先生方は授業の準備に加え、生徒指導、部活の顧問などとにかく忙しいことが多くなかなかこのことに時間を割くことができない状況があります。

具体的な対処法

この問題への対処法は、「英会話力をあげるために必要なスキルだけに集中して伸ばす」ことです。

英語科の先生のアドバンテージは英語の文法の力をしっかりと持っていらっしゃることです。会話に必要な文法が体系的に頭に入っているので、もうそこにかける時間は必要ありません。

英会話力の基礎としてまずは下記2点に集中して取り組んでみましょう。

1)構文を素早く組み立てられるようになること

その文法の力に瞬発力を加え、必要な時に必要な構文をご自分の引き出しから出せる状態にかえるトレーニングを行いましょう。具体的には瞬間英作文系の練習です。ただ、ここで注意をする必要があります。瞬間英作文系の本の問題を「暗記する」のではなく、文を組み立てるつもりで行いましょう。

2)音の変化に慣れること

「よく使う教材のCDの音源は聞けるんだけど、そうでないものはなかなか聞けない」「(何を言っているかよくわからないから)ALTの先生に授業以外で話しかけられるのが怖い」などのお悩みをよく伺います。

単語と単語が重なるときにおこる音声変化に慣れ、それにエネルギーを取られないですむ状態をめざしましょう。多くの日本人学習者は、リスニング時にこの音声変化部分に注目を向けてしまいます。

例えば My  daughter has  bought  a  lot of   books.  という場合、 緑色のあたりの音が、自分が想像していた音と違って ?? と、気を取られているうちに文が終わってしまうというイメージです。

この緑の部分は、単語と単語が重なったり(一部単語の中で起こる変化もあります)して起こる変化ですが、ここに気を取られるとこの文の中で意味としては重要な役割を担う daughter やbought  books といった単語に注意を向けられなくなり結局意味を取れないままということが頻繁に起こります。

音の変化に慣れ、本当に必要な部分にエネルギーを集中させられるようになる状態をめざしましょう。

この2つの力がついたら、自分の言いたいことをどんどん言う練習や、質問に対してスピードで答える練習、トピックについて話す練習と段階的にできることを増やしていきます。

②周りからの期待値が高い(と感じる) & ネイティブスピーカーを含め周囲に英会話のうまい人が多くて落ち込む

英語を教えてていると、「英語を教えているんだから、当然英会話もすることが出来るんですよね。」というような目で見られることが多くあります。もちろん、その状態がベストではあるのですが、プレッシャーの中、英語を話すのは辛いことです。

具体的な対策

●自分の立ち位置を整理しましょう。

「英語を教えられる」ことと「英語が話せる」は別のスキルです。いくら流ちょうに英語を話すことができる人でも、その人が中学生や英語や高校生に英語を分かりやすく教えられるかというとそうとは限りません。逆に話すのがあまり得意でなくても、生徒さんにとって分かりやすい授業をする英語の先生もたくさんいらっしゃいます。

そういう先生は、先生に求められる仕事「生徒に英語の知識を伝える」「英語の楽しさを伝える」を立派に果たしていらっしゃるということになります。

かつて、教職についているクライアントさんのおひとりが「自分の仕事は、生徒と英語をつなげること」「色々なことに挑戦し、失敗の体験も含めて生徒につたえることと、成長の過程をみせること」とおっしゃっていました。

以前はパーフェクトでいなければと焦っていらしたそうですが、自分の出来ること、これから伸ばすことを整理し、立ち位置を決めてからは楽になられたそうです。

もちろん、大っぴらに話すことを苦手にする必要はなく、こっそり陰でうまくなるためのトレーニングを行えばよいのですが、「完璧でいなければ」という気持ちを外すことで楽になる方がたくさんいらっしゃいます。ぜひ整理を行ってみてください。

以上、先生向けに英会話力を伸ばすための対処法を書いてきました。

この記事の内容をおひとりで実施しようと思っても、それはなかなかな難しいことかもしれません。

日々の授業、そのための準備や部活、それに加えて日々変わる学校行事への対応・・、小学校、中学校、高校と学校現場で働く先生方は毎日本当に忙しいことを知っているからです。

でも、学校も英語の先生がALTの先生とスムーズにコミュニケーションをしている姿を見せられると、「生徒たちにもたくさんの良い影響を与えられるかもしれない・・。」と思うことはありませんか?流暢に話す姿を見せることで「この人から学ぶと英語が話せるようになりそう」と思ってもらえると授業を進めやすくなるかもしれません。

まとめ

先生が「英語をうまく話せない」「英会話が苦手」だと感じる原因
①先生も英会話力を伸ばす教育に恵まれていないことが多い

対策)まずは下記の2点から出発
・構文を素早く組み立てられるようになり口から出せるよう状態にすること
・単語と単語が重なったときの音の変化に慣れ、無意識で処理できるようになること

②周りからの期待値が高い(と感じる) & ネイティブスピーカーを含め周囲に英会話のうまい人が多くて落ち込む

対策)
・自分の立ち位置を明確にする
(ネイティブスピーカーと自分を比べるのではなく、学習者としてどのような姿を見せたいか考えてみる)

いかがでしたでしょうか?参考にしていただけましたら幸いです。

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日野ゆう子

英会話学校や大学サテライト授業・個人レッスンにて通算14年・主に成人を対象にのべ3000人以上を指導。「先生なのに英会話が苦手」という悩みを長年抱え、試行錯誤のすえ乗り越えてきた経験から、英会話力づくりのサポートを行っています。ベースには、TESOL(英語教授法)や言葉を効率よく習得する研究(第二言語習得論・脳科学や心理学など)コーチング・異文化理解などを取り入れています。

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